この記事では、海外で注目の育児法「ジェントルペアレンティング」の育児法の観点から親子の信頼関係を築く方法をお伝えしていきます。
子育てをしている親御さんにとって「子供との信頼関係を築く」ということに関して、興味を持っている方は多いのではないでしょうか?
子供とは悩み事などを打ち明けてもらえるような信頼関係を作っていきたいな
自分自身は親と信頼関係を築けなかったから、自分の子供には同じ思いをさせたくないな
親子で信頼関係を築くことがどれだけの子育てに関するメリットがあるのでしょうか?
このブログでは海外で注目の育児法「ジェントルペアレンティング」について発信しています。
今回はその育児メソッドの観点から「親子の信頼関係」についてみていきます。
信頼関係が育児において重要な理由
安心感と成長の土台
信頼関係は、赤ちゃんや子供が安心して成長するための土台です。
信頼できる大人がそばにいることで、子供は安心感を得て、自信を持って新しいことに挑戦できるようになります。
この安心感が、子供の心身の健全な発達に不可欠です。
自己肯定感の向上
親との信頼関係が強固であるほど、子供は自分の価値を肯定しやすくなります。
親が子供の意見や感情を尊重し、共感することで、子供は「自分は大切にされている」と感じ、自己肯定感が育まれます。
これは、子供が将来社会で自立し、健全な人間関係を築く基礎となります。
コミュニケーションの質の向上
信頼関係が築かれていると、親子間のコミュニケーションが円滑になりやすいです。
子供が安心して親に気持ちを打ち明けることができるため、問題が起きた時もスムーズに対処できるようになります。
このような良好なコミュニケーションは、長期的な親子関係の質を高めます。
この記事内で、良好なコミュニケーションの取り方も説明していきます。
親子の信頼関係を築くためのジェントルペアレンティングの基本原則
ジェントルペアレンティングとは
ジェントルペアレンティングとは、愛情と共感を基にした育児法です。
海外ではモンテッソーリ教育と並びメジャーな教育法の一つで、親子の信頼関係を築くための効果的な方法と考えられています。
詳しくはこちらの記事もご覧ください
子供の感情を理解し、共感する
ジェントルペアレンティング育児法では、子供が表現する感情に対して共感し、受け止めることを繰り返します。
まだ成長が未熟な子供は感情をうまく言語化することができず、泣いたり癇癪を起こしたりしながら感情を表現していきます。
そんな子供の感情表現も受け入れる姿勢が大切です。
子供も一個人であり、親である自分たちとは別の人格です。
相手のことに共感し理解しようと努める姿勢は、人間関係を良好にし信頼関係を深めるきっかけになります。
一貫したルールと愛情を持って接する
ジェントルペアレンティング育児法では一貫性のあるルールと、愛情を持って接することが求められます。
子供が起こした行動に対し、この日は注意されたがあるときは注意もされない、というような一貫性のない行動は子供の信頼を失うきっかけになりかねません。
親にとってちょっとした行動でも、子供にとっては大切な判断基準になることもあるということを念頭に置いて、ちょっとした約束や親の一貫した行動を心がけることがとても大切です。
自主性を尊重する接し方
子供が自分のペースで成長できる環境を提供することも、信頼関係の構築において重要です。
なんでも「だめ」と制限をされてしまっていると、子供は自主性を失い自分への信頼感を失うとともに親への信頼感を失うことにもつながります。
子供は、すべての事象に興味関心を抱いており、初めて挑戦することだらけです。
子供だから「だめ」と制限してやらせないのではなく、まずは大人が先に子供を信頼してやらせてみる。
そしてそこで子供ができなかったり失敗したとしても、許容してあげる親の関わり方が親子の信頼関係を築く礎になります。
信頼関係を築く方法
子どもとの信頼関係を築くことがジェントルペアレンティングでは重要視されます。
ジェントルペアレンティング育児法が考える子供との信頼関係を築く方法はこちらです。
1. 一貫した行動を心がける
日々の生活で親が一貫性を持って対応することが、子どもに安心感を与えます。
例えば、
- ご飯の時にテレビを消すというルールを決めたのであれば、親が率先して守る
- おやつはご飯の後には食べないと教えたのであれば、どんなに泣かれても約束を守る
- あとで抱っこするよ!と約束したら、必ず実行する
このように、ルールや期待する行動を明確にし、それを維持することで、子どもは親が信頼できる存在だと感じます。
2. 子どもに時間を与える
忙しい日々の中でも、子どもと過ごす時間を大切にしましょう。
子どもと遊んだり、一緒に話をしたりすることで、親子の絆が深まります。
忙しい親御さんは、なかなか子供との時間を取るのは難しいかもしれませんが、一日で子供と過ごす時間を意識的に日課として取り入れてコミュニケーションを図る時間を確保しましょう。
3. 積極的に子供の話を聞く
子どもが話すときは、しっかりと耳を傾けましょう。
子どもの意見や感情を無視せず、しっかりと受け止めることで、子どもは自分が大切にされていると感じ、信頼関係が強化されます。
子供との会話のコツについては後述します。
4. 共感的な対応をする
子どもの感情に対して共感的に対応することで、子どもは理解されていると感じます。
例えば、泣いている子どもに「泣かないで」と言うのではなく、「何があったの?」と気持ちを理解しようとする姿勢を見せることが大切です。
5. ポジティブなフィードバックを与える
子どもが良い行動をしたときや努力したときには、しっかりと褒めてあげましょう。
ポジティブなフィードバックは、子どもの自信を育て、親との信頼関係を強化します。
そのためには、子供が日頃から出しているちょっとしたサインに敏感になることで、適切なフィードバックを行うことができます。
子供のサインについては後述します。
信頼関係を深める日常のコミュニケーションのコツ
親子の対話を大切にする
日常的な対話を行なっていくことで、子供の考えや感情を理解し、信頼関係を深めることができます。
親子の対話をするためのコツをお伝えしていきます。
◾️子供の話を聞く時に気を付けるポイント
親子の対話を大切にするためには、子供の話に耳を傾けることが重要です。
子供が話す内容に対して真剣に耳を傾けることで、子供は「自分の意見は重要だ」と感じ、自信を持って話すようになります。
積極的なリスニングをしていくために大切になるポイントは以下の通りです
・アイコンタクトを大切にする
話を聞く際には、子供としっかりと目を合わせることが重要です。
アイコンタクトをとることで、子供に「あなたの話をちゃんと聞いている」というメッセージを伝えることができます。
目を見て話すことで、子供は自分の意見が大切にされていると感じ、より安心して話せるようになります。
・相槌と確認の言葉を使う
子供の話に対して適切に相槌を打つことで、子供が話しやすくなります。
たとえば、「うんうん」「それで?」など、話の流れに合わせた相槌を使いましょう。
また、子供が話している内容を繰り返したり、少し表現を変えて繰り返すなども効果的です。
・子供の方を見て話を聞く
話を聞く時には、子供に身体を向けて話すことが大切です。
体を子供の方に向けることで、話を聞く姿勢を示すことができ、子供はより安心して話すことができます。
また、身体全体で相手に集中していることを示すため、スマホや本などの他のものに気を取られないようにしましょう。
・途中で話を遮らない
子供が話している途中で親が話を遮ると、子供は自分の話が重要ではないと感じてしまうことがあります。
話の途中でアドバイスや意見を述べるのではなく、まずは最後まで子供の話を聞くことが大切です。
話が終わってから、必要に応じて質問やアドバイスをしましょう。
◾️日常会話の質を高める
日常の中での小さな会話も大切にしましょう。
よし、話をしよう!と特別な時間を設ける必要はありません。
食事中やお風呂の時間、寝る前など、日常の中で自然に会話を楽しむことで、親子の絆が深まります。
- 食事の時間はテレビを消して親子の時間を大切にする
- お風呂に一緒に入る
- ベッドに一緒に横になる
など、簡単な日常の日課を作って、自然と会話ができるような環境を整えましょう。
会話をする際は、質問をするだけでなく、親自身も感じたことや考えたことを共有することで、子供とのコミュニケーションが一方通行にならないように心掛けましょう。
◾️子供の感情に寄り添う
子供が感じていることに対して共感を示すことも重要です。
どんなにたくさん会話をしていたとしても、相手が自分の話に批判的な反応だと、話を聞いてもらいたい気分にならなくなるのは、大人も同様なのではないでしょうか?
ただ、寄り添って話を聞いてもらいたい、そんな時が我々大人にもありませんか?
例えば、子供が悲しそうにしている時は、「悲しいね」と共感する言葉をかけることで、子供は自分の感情を理解してもらえたと感じ、安心感を得ます。
このような共感のやり取りが、親子の対話を豊かにします。
子供のサインに敏感になる
子供が示すサインや行動を見逃さず、適切に反応することで、子供は自分の気持ちが理解されていると感じ、信頼が深まります。
子供のサインを見逃さない方法としては以下の方法が挙げられます。
◾️とにかく子供を観察してみる
子供は言葉では表現できない感情や欲求を、行動や表情で伝えることが多いです。
親がそのサインに敏感になるためには、日常的に子供の様子をよく観察することが大切です。
笑顔、泣き顔、仕草、声のトーンなど、子供の細かい変化に気づくことで、早めに対応できるようになります。
◾️相手のパターンを理解する
子供の行動や反応には、一定のパターンがあることが多いです。
例えば、特定の時間や状況で機嫌が悪くなる場合、それが何を意味しているのかを考えてみましょう。
パターンを理解することで、子供のサインを見逃さずに対応できるようになります。
◾️反応を試す
子供のサインに対してどのように反応するかを試すことも、敏感になるための一つの方法です。
例えば、子供が泣き始めた時に、抱っこをする、話しかける、そっと見守るなど、様々な方法を試してみて、子供がどう反応するかを観察しましょう。
こうした試行錯誤を通じて、子供のサインに対する最適な対応を見つけることができます。
親子の信頼関係を育むことによる4つの効果
1. 子供の情緒的安定
ジェントルペアレンティングを実践することで、子供が情緒的に安定していきます。
- 感情をコントロールする力が身につき心が安定する
- 子供の笑顔が増える
- ストレスに対する耐性が身につく
感情表現がうまくできない幼少期に、自分の感情を受け入れてくれる経験を積み重ねることで、感情コントロールする力が身につき、結果的に情緒が安定していくと考えられています。
2. 自己肯定感の確立
自己肯定感とは、自分に対する肯定的な評価のことで自分を愛する力とも言い換えることができます。
自己肯定感が高い状態だと、自分を信頼する力が強いので苦難な状況に立たされても、自分を鼓舞して立ち向かう勇気が生まれます。
逆に自己肯定感が低いと、他者からの評価を気にしたり、承認欲求が異常に高まったりします。
自分を愛することができる自己肯定感を高めることができれば、他者にも優しく接することができるとも考えられています。
これからの日本は、どんな未来を迎えるか誰にもわかりません。
親が子供に与えてあげられるのは、どんな状況になっても自分を信じて挑戦できる力ではないでしょうか?
3. 困った時になんでも親に相談できる関係性が構築できる
幼少期に培った親子の信頼関係は、成長とともに強固になっていきます。
子供が成長していくと
- 友人からいじめにあっている
- SNS等でのトラブルに巻き込まれている
- 学校で居場所がない
などの悩みなどが出てきます。
そんな時に、子供から相談をしてくれる関係性を築くことができたら親としても安心ではありませんか?
親子の信頼関係を築くことはこういったメリットもあるのです。
4. 非認知能力の向上
非認知能力とは、知能検査や学力検査では測定できない能力のことを指しています。
- 協調性
- 自制心
- 計画性
- コミュニケーション能力
- 忍耐力
など、社会性や人の心(共感性)などに関わる力です。
これらのスキルが育つことで、子供が他者との健全な関係を築けるようになるでしょう。
自分を動機づけて高めようとしたり、自分の感情をコントロールしたりしながら、自分と他者を大切にできる非認知能力の育成が、変化の激しい社会のなかで求められています。
ジェントルペアレンティングを用いる時に待ち受ける課題とは
ジェントルペアレンティングは、従来の叱ることで子供をしつける方法とは異なるため
「甘やかし」などと勘違いされることも多くあります。
周囲の目や周りの反応からも、ジェントルペアレンティング育児を進めていくことに辛さを感じる場面もあるかもしれません。
さらには、現代人の忙しい中で、時間に追われていて実践が難しいと感じる場面や、臨機応変に対応したいなかで一貫性を保つのが厳しい場面に直面することもあるでしょう。
親が子供の感情表現に付き合うことが精神的にきつい時もあるかもしれません。
そんな場面では親の心の健康を一番に優先しながら、子供と向き合っていっていただけたらと思います。
ジェントルペアレンティングを実践するための親の心構えについて記載した記事があるので、そちらも参考までにご覧ください
まとめ
親子の信頼関係を築くことは、子供の健全な発達に不可欠な要素です。
子供の情緒の安定、自己肯定感の向上、非認知能力(コミュニケーション能力・協調性・自制心・忍耐力)の発達などに大きく貢献します。
信頼関係を築くためには、まずは子供を一人の人間として関わり、相手を尊重し、信頼する。
相手の信頼を裏切るような行動をしない、約束はきちんと守る。
そんな人間関係を築く上で当たり前にやっている行動を、子供に対しても行うだけで、親子関係は格段に良くなるでしょう。
親子の絆を強めることで、子供が困難な状況に直面した際も、自分と家族の力を信じて立ち向かうことができる力を育てることができるでしょう。
このブログでは、海外で注目のジェントルペアレンティング育児法について発信しています。